理窓2014年4月号
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14・4 理窓37(1) ゴールを決めるのは魂の構え 卒業おめでとう。卒業に当たって、一つの詩を贈る。「ある船は東へ進み、また他の船は同じ風で西へ進む。行くべき道を決めるのは疾風ではなく、帆のかけ方である。海の風は運命の風のよう。生涯という海路を辿るとき、ゴールを決めるのは凪か嵐ではなく、魂の構えである。」(「運命の風」エラ・ウィーラー・ウィルコックス) これまでは理大の港で準備していたが、これから大海へ旅立つ。将来は誰も知らない。どんな運命になるかわからない。自分の行くべきゴールをしっかり決意して諦めない。たった1回しかない人生、思う存分やりたいことをやって生き抜くべきだ。そのためには、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心が必要だ。年齢は関係ない。(2) 我が人生を振り返って思うこと 可愛い後輩のため、恥を忍んで、我が人生を照らし合わせてみると、“失敗、絶望、挫折、屈辱→前進”の繰り返しであった。 私は1969年に理学部応用数学科を卒業した。数学を一生懸命にやったつもりだったが、分からないことがいっぱいあった。もう辞めようと思ったが、辞めるには条件がある。あなたがいないと我々はやっていけないと言われた時、辞める資格がある。その前に辞めるのは、単なる意気地なしである。諦めたらそれで終わりなので、諦めないで生涯かけてやっていこうと考えた。 皆さんも、今日改めて自分が何をやりたいか、もう一度考えて、絶対こうすると隣の人に宣言してみよう。これしか人生で成功するレシピはない。 よし、大学院に行こうと決め、新設の上智大大学院に入って微分方程式をやったが、なかなかうまくいかない。そこで、理大の恩師、浜田先生とグラフ理論を始めたがこれはとても楽しかった。しかし、就職がなく、日本医大へ就職したが、医記念講演記念講演者のお手伝いで物足りない。新天地を求めて、ミシガン大学へ留学しようと、グラフ理論の父といわれるハラリー先生に手紙を書いて、研究生として入ることができた。 ミシガン大学では一日一本論文を書け、さもなければ出て行けと言われた。Another day, another paper, Publish or perish. 努力していればなんとかなる。しなければ奈落の底に落ちる。自分の意志と努力で切り拓くのである。(3) 贈る言葉○努力の原動力はアンヴィション “努力の裏付けのある野望は才能に転ずる”。人生でやりたいこと、なりたいものを決意することである。○才能は努力の後についてくる やり続けていると“才能はゆっくり後からついて来る”。そして、君にしかできない仕事になってくる。それが君にとっての天職だ。また、才能は無いが、馬鹿にしか見えないものがある。私は教えるのがうまい。どこがわからないか、わかるからである。 スティーブ・ジョブズはStay Hungry, Stay Foolish(ハングリーであれ、愚か者であれ)と言っている。○かけがえのない人生を安売りしないこと 君がいてくれてよかったと、人々から信頼される人になる。あの人が出た大学だから私も理科大学へ行きたいと言われるようになってほしい。 あなたが理窓会に何ができるかを考えてほしい。講師 秋山 仁 先生(44理・応数)東京理科大学総合教育機構理数教育研究センター長近代科学資料館長

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