理窓 2016年4月号
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28新社会人に望むこと生徒の潜在能力を本気で引き出す指導 教員になった当初は、教科指導力の未熟さに悩む日々が続いていました。職場の数学科は、一年先輩と同期と私の3人しかおらず、身近に教科指導の手本がありません。半年が過ぎた頃、同窓の先輩教員から数学教育の研究会を紹介され、その会での助言もあり、翌年から、問題が解けることに主眼をおいたプリント学習や早朝補習を行いました。すると、授業内での生徒の取り組み姿勢が徐々に良くなっていくのが実感できました。 生徒は、教員が本気で指導をしているかどうかを見分けることに長けています。新しく教員になられた皆様は、教科指導、部活動指導、学級経営指導などどれでもよいので、生徒の潜在能力を引き出す工夫をし、指導をすることから始めてください。その本気度が生徒に伝わり、必ず信頼をもって生徒がついてきてくれます。仕事は成長のチャンス 当初は、先輩の後について仕事を進めていきます。仕事にも慣れた頃、決められた職務の他に、突発的に仕事が目の前に現れ「やってくれないか」と頼まれることがあります。 仕事は、自分が成長するチャンスと捉えるとよいと思います。少し時間のやりくりをしてできそうであれば、頼まれた仕事は受けていました。 私が教員になった40年前は、成績処理を手作業で行うのが一般的でした。ある時、学年主任から「学年の成績処理のシステムが作れないか」と相談を受け、作ることになりました。その後、他学年まで広げて使えるように作り変えて、大変喜ばれました。この仕事を通して、成績処理のポイントやプログラミング技法を身に付けることができました。このように、目の前に目標があるから勉強し、仕事をこなすことにより情報(知識)や技能を獲得できることを数多く経験しました。仕事は確実に処理 忙しさを理由に寝かしておいた仕事を、忘れてしまったことがありました。これを避けるには、仕事に優先順位を付け、できる仕事はすぐに実行します。情報が足りない、他に優先度が高いものがあり今はできない仕事は、完成期限を書いた付箋を貼り、バインダーにまとめて挟んでおきます。用事は付箋に書き手帳などに貼っておき、済んだら捨てます。そして、毎朝付箋を確認し、仕事の処理を進めると、忘れて迷惑をかけることがなくなります。そのため、早目に出勤し「一日を俯瞰する時間」をもつのもよいでしょう。自校の外に出ること 「教育は人なり」と言われています。職場に慣れてきましたら、時間を作って研究会・研修会に参加し、自己を高め、その成果を教育活動に生かしてください。私は、東京都高等学校数学教育研究会(後に会長を務める)、東京理科大学数学教育研究会(後に副会長を務める)、日本数学教育学会(後に副会長を務める)に所属させていただき、自校では知ることができない沢山の情報(発見)を得、教育活動に生かすと共に、自己の考えをまとめ発信する際の武器とすることができました。同窓の絆を活用 母校は理系教員を多く輩出しており、全国で活躍をしています。私は、2校の校長時代を含め38年間の教育活動や研究会活動を通して、多くの同窓の先輩から手を差し伸べていただき、現在の私があると実感し感謝しております。 教員系の職種で組織をしている理窓教育会の支部が各都道府県にあります。私も東京支部に参加し活動をしています。その中に学区内の教育委員がいらしたので、お願いをして自校の学校運営連絡協議会委員になっていただき、側面から学校経営の支援をしていただいたこともありました。 先ず、あなた自身が同窓の先輩に挨拶をしてみてください。先輩は温かく迎え、必要な情報やサポートを与えてくれると思います。東京都教職員研修センター東京都教職員研修センター竹村竹村  精治精治(51理・応数)(51理・応数)

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