杭工事とおやじバンド
(株)三誠ホールディングス代表
三輪 富成さん
工学部
株式会社Cygames 取締役CTO
芦原 栄登士さん
コンパイラ(プログラミング言語をコンピュータがわかる形式に変換するソフトウェア)を作りたくて、所属していた研究室とは別の研究室のゼミにも参加していました。卒業研究ではオリジナルのプログラミング言語のコンパイラを実装し、そのコンパイラでいくつかの言語処理系を実装して自作言語の優位性を述べる、なんてことをやっていました。この時期はそれこそ食事と睡眠以外の時間はほとんどプログラミングをしていた覚えがあります。やりたいことをとことんやっていた大学生活でした。

卒業当時のゲーム会社ではコンパイラから作っているところもあったので、そのゲーム会社に入社しました。それでもまだまだコンパイラの研究をやりたくて、昼間はゲーム開発をしながら、筑波大学の夜間大学院に入り研究を続けていました。
ところが、だんだんと昼間のゲーム開発の方が楽しくなってきたのです。自分の作ったゲームで遊んでくれるユーザーがたくさんいる、たくさんの人たちが楽しんでくれている、というのが楽しくて仕方ありませんでした。あんなに好きだったコンパイラの研究は趣味でいいかな、と思うようになりました。以来20数年すっかりゲーム業界に落ち着きました。
20年もやっているとマネジメントの仕事も増えてきて、自分では直接作ることがなくても「皆に作ってもらう」楽しさを知りました。今は自分の役割は「皆がすごいものを作るための環境作り」だと思っているので、そこに専念しています。同じように、若い頃は研究も自分がやりたかったのですが、今は自分でやるのではなく「優秀な研究者がすごい研究を存分にできる環境を作ること」に注力しています。
Cygamesでは、1000人を超える優秀なエンジニアに囲まれてやりたいことができていて幸せです。
昔、日本はゲーム大国なんて呼ばれていましたが、現在は海外の方がより大規模で面白いゲームを多く作っています。追い抜かれてしまった理由は色々あると思いますが、振り返ってみると、我々がやっていた開発のスタイルは属人化が多かったのが反省点です。属人化を防ぐような体系化や文書化が足りていませんでした。また、ゲーム開発技術の研究も足りていません。巨大で複雑になったゲーム開発ではそれぞれの技術の専門家が必要になっていますが、なかなか増えていきません。それは、「ゲーム技術の研究」をする研究者が少ないからだと感じています。大学での研究者が増えれば、そこから出てくる専門知識を持った学生も増え、業界にも増えてくると思います。大学の研究者は体系化も得意だと思いますし、もっともっとゲーム技術の研究をしてほしいと思っています。Cygamesでは、2016年に社内研究所であるCygames Researchを立ち上げ、ゲーム開発技術の研究を行っています。また理科大でもDX特論の授業で、ゲーム開発とDXのお話をさせて頂いております。
複雑で巨大な現在のゲームはさまざまな技術のシステムに分かれています。グラフィック処理、物理処理、アニメーション、サウンド、AI、ネットワーク処理、などなど、それぞれの分野でその専門性がより高くなってきています。ですので、スペシャリストはそれぞれ専門分野のより深い知識が必要です。スペシャリストでなくてもジェネラリストとして幅広く全体の知識が求められています。さらに現在はスペシャリストかつジェネラリストというスタイルが求められてきています。専門分野の深い知識と、他の分野も専門ほどではないが幅広い知識、という両方が求められている時代になってきています。WEB分野でのフルスタックエンジニアと同じでしょうか。