********** 第53回理窓光学会定期講演会・報告*********
  
       日時:平成20年12月6日(土)13:30〜 理窓会館



1) 講師: 高尾敏弘氏 タカオ技術士事務所 (S41年 理学部 応用物理学科卒)
【演題】:「薄膜基本技術からみる光学技術」
【要旨】薄膜技術はガラス、レンズ等の光学部品へのミラーや低反射成膜に原点がある。現在は成膜手段も多岐にわたり各種の産業に利用される技術となっている。現在の産業用の成膜技術の主流はスパッタリング法である。しかし、唯一、光学デバイスへの適用は以前としてボート、電子銃を駆使する真空蒸着法が基本となっている。その理由は物理的特性や精度が他の成膜手法では光学デバイスの要求する厳しい条件をクリヤすることが困難である事、設計ノウハウ、製造ノウハウの蓄積不足等が考えられる。しかし、最近では量産安定性のあるスパッタリング法による光学成膜装置が実用化されている。この出現により、光学膜製造にも真空蒸着法のような高度な成膜技能者を必要としなくなる時代がきている。パソコンの設計値と実際の成膜特性との差異が殆どないとのユーザのコメントがある。現場の経験豊な技能者の立ち入るスキがなくなったと言うことである。パソコン設計はゲーム感覚で可能であり現場の感性は必要としない。時計、カメラ関連の精密技能者と同様に成膜技能者は国内から除々に消滅して行くように思われる。しかし技能、技術は一体に構成されるべきあり、薄膜成膜の感性の原点である真空蒸着の基本技術を見直す事も意味のある事と思われるが?
 
2) 講師: 大川和宏氏 東京理科大学 理学部 応用物理学科 准教授 (S58年 理学部 物理学科卒)
【演題】:「光半導体で省エネとクリーンエネルギーに挑戦」
【要旨】 窒化物半導体は光デバイス材料として極めて有望である。高効率青色・緑色LEDと白色LEDの実現は良く知られている。高効率化は省エネルギー技術の鍵である。更なる効率化への取り組みとして非極性構造によるデバイス作製を紹介する。
また吸光デバイスとしての光触媒研究も紹介する。窒化物半導体は光エネルギーを水分解に変換することができ、水素というクリーンエネルギーを製造することができる。吸収波長領域の外部量子効率は70 %に達し、この数値は他の材料に抜きん出ている。さらにこの特性は太陽電池としての有望性も示している。

     
高尾敏弘講師                            大川和宏講師


                  聴講風景


                  参加者 集合写真

 
                  講師を囲んでの懇親会
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